第2話 深夜の約束
「ファミレスでいい?」
涼花からのLINEは、深夜1時を過ぎた頃に届いた。
僕はしばらくスマホを持ったまま、その文字を眺めていた。ファミレス。深夜。涼花。
「どこがいい?」と返すと、「駅前のデニーズ。朝まで開いてる」と即答が来た。
こんな時間に会おうと言い出したのは彼女なのに、返信は妙にテキパキしている。眠れない人間の文章じゃない。でも、眠れる人間がこんな時間にLINEするだろうか。
「いつにする?」
「明後日の深夜2時。来られる?」
考える時間は3秒もなかった。「行く」と打った。
涼花のことを初めてちゃんと意識したのは、去年の冬だ。ゼミが同じで、レポートの提出期限を間違えていた僕に「今夜中だよ」と教えてくれたのが彼女だった。声は静かだったけど、目は笑っていなかった。
以来、なんとなく気になっていた。接点がなかっただけで。
深夜に呼び出すような子だとは思っていなかったけど、そう言えば最初から、あの目は少し遠い場所を見ていた気がした。
約束の夜まで、あと二日。
僕はまだ、眠れそうになかった。
──(第3話へつづく)