第3話 リビング交渉
問題が発生した。リビングの使用時間が重なるようになったのだ。
俺は深夜0時すぎにゲームをする。田中は深夜1時から「作業」をする。作業の内容は不明だが、とにかくリビングで何かをやる。
「交渉が必要だな」と田中が言った。
「何時から何時を誰が使うか、決めよう」
「お前が先に言ったからお前が譲れよ」
「論理が逆。先に言ったほうが権利を主張できる」
「そのルールはどこの法律に書いてある」
「規約第5条に書く」
「まだ書いてないじゃないか」
30分の交渉の末、リビング使用は「夜11時〜深夜1時は俺優先、深夜1時〜3時は田中優先」という合意に達した。
田中は合意書(メモ帳に手書き)を作成し、両者がサインした。
「これ、法的効力は?」
「ない」
「意味は?」
「誠意」
この会話、最近どこかで聞いた気がした。
──(第4話へつづく)