第3話 予想と違う涼花
深夜2時のデニーズは、思ったより明るかった。
涼花はもう来ていた。窓際の席でホットコーヒーを両手で包んでいて、僕に気づくと小さく手を上げた。
「早いね」と言うと、「眠れないから」と言った。そうか、眠れないんだと思った。
ドリンクバーのコーヒーを持って向かいに座ると、涼花はすぐに話し始めた。雑談だった。バイトの愚痴、ゼミのこと、最近ハマっている深夜ラジオ。
「なんか……思ってたのと違う」と、気づいたら口に出していた。
涼花が少し眉を上げた。「何が?」
「もっと、こう……しんどそうかと思って」
「しんどいよ」彼女はさらっと言った。「でも話すときまでしんどい顔するのは損じゃない?」
その言葉が、妙に胸に刺さった。
涼花は強がりで言っているわけじゃなかった。ただ、自分の感情の置き場所をちゃんと知っている人間の言い方だった。
午前4時近くまで、僕たちはとりとめなく話した。何が解決したわけでもない。でも帰り際、涼花が「また来る?」と聞いた。
「来る」と答えた。即答だった。
──(第4話へつづく)