既読が、つかない。
午前4時12分。送信済みのマークだけが、じっと僕を見ている。
内容は「起きてる?」の四文字だ。送ったあとすぐに後悔した。深夜4時に「起きてる?」なんて、何を期待しているんだという話だ。
彼女——涼花と知り合ったのは三ヶ月前、共通の友人の飲み会だった。隣に座って、お互いハイボールを頼んで、それだけで何となく話が続いた。帰り際に「また飲みましょう」と言ったのは彼女の方だった。
それ以来、たまにLINEをする。たまに、がだんだん増えていって、今では毎晩している。でも会えていない。
既読がついたのは4時47分だった。
「起きてるよ」
それだけ。
「眠れないの?」と僕は打った。
少し間があって、「うん」と返ってきた。
「俺も」
また間。今度は少し長い。
「なんで眠れないの」
正直に言おうか迷った。
君のことを考えていたから、と。
「わからない」と送った。嘘ではなかった。
「ねえ」と彼女が送ってきたのは5時を過ぎた頃だった。
「今度、眠れない夜に会わない?」
僕はしばらく画面を見つめた。
外が、少しずつ明るくなっていた。
「いつでも」と送った。
既読は、すぐについた。
──(第2話へつづく)