深夜の公園で突然「告白の練習につき合ってください」と言われたとき、僕は人生で三番目にびっくりした。
(一番は小学校の運動会でゴールテープを持ち間違えた時。二番は祖父が実はプロ野球選手だったと知った時。)
「誰に告白するんですか」と僕は聞いた。
「それは関係ないです」と彼女は言った。夜の十一時に公園のベンチで、真剣な顔で。
「では始めます」と彼女は言って、立ち上がった。深呼吸。
「好きです。付き合ってください」
目が合った。
全力だった。練習にしては全力すぎた。
「……どうでしたか」
「よかったと思います」と僕は言った。声が少し裏返った。
「本当ですか。もう一回やります」
五回やった。五回とも全力だった。
「完璧です」と僕は六回目の前に言った。「もう練習しなくていいと思います」
「そうですか」と彼女は言った。「じゃあ本番やります」
「え、今から?相手の人を呼ぶんですか」
彼女はしばらく黙っていた。
「……もう目の前にいます」
僕は人生で一番びっくりした。
(記録更新。)